小4・重松清の隠れファン
中学受験の国語入試問題で頻出度ナンバー1の重松清。
昨年後半から、小3長女と一緒にたくさんの重松作品を読みました。
長女は今ではすっかり重松清の"隠れファン"になっています。
"隠れファン"というのは、重松本を学校にはもっていかない・家だけで楽しむことにしているからです。
失礼な話ですが重松清はオシャレじゃないし、学校で読んでいて万一泣いてしまったら恥ずかしいからだそうです(笑)。
オシャレじゃないとかなんとか言いながらも、小4長女の好きな作家のひとりになっています。
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重松作品のポイント
わたしは専門家ではありませんが、重松作品を子どもに読ませるにあたってのポイントをいくつか考えてみました。
- おもに「人間関係」を描いている。家族・友達・社会の中で、自分がどうありたいのかに向き合う主人公のお話が多い。
- 人物・設定・ストーリーは奇想天外なものではなく、誰にでも起こりそうな出来事が次々と起こる。(ただし『流星ワゴン』はタイムスリップものなので誰にでも起こる出来事ではありません。)
- 平凡な主人公の生活に「死」が関わってくることで、俄然ストーリーが重くなる。
そう、重松作品はとっても重いんです。
家族の死・親友の死・ペットの死でさえ小学生はまだ経験したことがないかもしれません。
だからこそ読んで欲しいわけですね。
小4でも読める『くちぶえ番長』
重すぎて敬遠する子どももいるかもしれませんが、そんな子におすすめなのが『くちぶえ番長』です。
おそらく、重松作品の中でもっとも低年齢向けの1冊なのではないでしょうか。
なにしろ主人公が小学4年生。
2005年から2006年に雑誌『小学四年生』に連載されていた小説です。
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あらすじ
小学四年生のツヨシのクラスに、一輪車とくちぶえの上手な女の子、マコトがやってきた。転校早々「わたし、この学校の番長になる!」と宣言したマコトに、みんなはびっくり。でも、小さい頃にお父さんを亡くしたマコトは、誰よりも強く、優しく、友だち思いで、頼りになるやつだったんだーー。サイコーの相棒になったマコトとツヨシが駆けぬけた一年間の、決して忘れられない友情物語。(文庫本あらすじより引用)
人間関係
番長を名乗り出たマコトは、いじめられっ子を助けたりひとりぼっちの子に優しくしたり、ツヨシができなかったことを簡単にやってのけます。
女子のリーダー「おツボネさま」や陰険な「ガムガム団」にも負けません。
そんなマコトに触発されて、意気地なしの優等生だったツヨシは少しずつ勇気を出して自分が正しいと思うことを出来るようになっていきます。
死
マコトは小さい頃にお父さんを亡くしています。お父さんの死を背負いながらも強く生きるマコト。
ある日、ツヨシの家で買っている犬のワンが老衰で死んでしまいます。ツヨシにとっては、大切な存在を失う初めての経験です。
落ち込むツヨシに、マコトは「泣きたいときには、くちぶえ」という言葉が書いてある帽子を貸してくれます。
お盆
重松作品のもうひとつのポイントに、昔の生活を知ることができるということがあります。物語文の読解問題を解く上で、古い生活様式の知識はとても役に立ちます。
『くちぶえ番長』では、お盆の日の出来事が詳細に書かれていて、迎え火・送り火などの慣習を知ることができます。
おばあちゃんを中心に、マコトのお父さんの死を悼むための一日の描写は・・泣けます。
まとめ
重松作品の中では、これほど子供向けな物語も少ないのではないでしょうか?
人間関係は勧善懲悪で、死は悲しいけれど主人公を成長させてくれます。
マコトが格好良すぎですが、無敵のヒロインの存在がこの物語を明るく希望に満ちたものにしてくれていて安心感があります。
他の作品では、人間関係はもっと救いがなく、死は主人公に責任があるなど切なくて・・。(『一人っ子同盟 』『きみの友だち 』『とんび 』など)
大人にとってはその方が読みごたえがありますが、小3・4の子に読ませるならまず『くちぶえ番長』かなと思います(*^^*)。
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