私は、中学と高校がキリスト教の学校でした。
死刑については
「人が生きるとか死ぬとかは、神様がお決めになること。死刑は、人が人の生死を決めてしまうからだめ。」
と6年間で50回くらい言い聞かされて育ちました。
だから私は、刷り込みのように死刑廃止派です。
その後法学部に入って、刑法の授業で「応報刑論」「教育刑論」なるものを習いましたが、
いんや、何があっても殺すのは違うのでは。
という考えは変わりません。
死刑制度の是非は、被害者の気持ちと加害者の人権が対立するところにあります。
被害者の気持ちを考えると、またはもし自分の大切な人が殺されたらと思うと、加害者には死をもって償って欲しいと思うのは当然です。
本書は死刑廃止派で、それでも死刑は行われるべきではないということを、感情面と論理面の両方から、とてもわかりやすく説明してくれます。
死刑については、たくさんの法律の専門家が語り尽くしているのに、専門外の小説家が何を今さら語るのだろうと思っていました。
しかし専門家の言葉ではないから、すっと入ってくることもあります。
死刑の是非って、子どもがこの先一度はぶつかる壁のようなものだと思います。
訳もわからないのに感情で突っ走るような人にはなって欲しくありません。
この本には、考えるための材料がたくさん書かれているので、子どもたちに読んでもらいたいです。