ママ塾で偏差値70!

幼児の頃から家庭教育を続け、小3(6月)の全国統一小学生テストで偏差値70。その後、早稲アカA特待・日能研スカラシップに認定され通塾しました。

『大きくなる日』佐川光晴ー中学入試出題の本

佐川光晴の『大きくなる日』は2017年度に3校の国語入試問題に出題されました。

・武蔵中『お兄ちゃんになりたい』

・立教池袋中・立教新座中『四本のラケット』

あらすじ

父、母、姉・弓子、弟・太二の四人家族の横山家を横軸に、太二の保育園卒園から中学卒業までの9年間を縦軸にした9つの物語の短編集です。

9つの物語のうち、横山家の人物が主人公になっているのは4編。そのほかは、太二の同級生や後輩、近所に住む家族、保育園の先生などが主人公になっています。

しかし時系列では1話ごとに約1年が経過していて、太二の成長を垣間見ながら読み進めることができます。

成長過程で起こりうる、日常のささいなトラブルや気持ちのすれ違い。それを、自分の力であるいは誰かの手を借りて乗り越えていく主人公たち。

時には気持ちを爆発させながらも元のさやに納まり、それを繰り返すことで成長していく。そんな家族のあるべき姿を細やかに描いています。

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感想

大事件ではないけれど、小さな傷やもやもやすること。誰もが抱えるそういうことをていねいに取り上げています。それに背を向けることなく、きちんと向き合っていく登場人物たちに勇気をもらえます。

現実では、放置していくうちに修復不可能になってしまったり、永遠に分かり合えないまま・・なんてことも多いですよね。

きちんと向き合える強さの源は、大切に思える家族の存在なんだろうなぁなんて思いました。

 

9話すべてで泣いてしまいました。

とくに、第8話の「本当のきもち」は涙腺崩壊でした。

小さいころに母親を亡くした女の子。中学生になり、好きな人(太二)ができて、いつかはその人の子どもが産みたいと思う。同時に、自分はお母さんのように死にたくないと思ってしまったことが悲しくて・・というお話です。もう、泣きたいときはこれを読んだらいいよっていうくらい泣けます。お母さん必読(笑)。

 

長女に読ませたところ、集中して一気に読んでいました。一番好きな話は、第3話の「水筒のなかはコーラ」だそうです。

作者について

1965年生まれ、神奈川出身で北海道大学を卒業している佐川光晴さん。何度も芥川賞の候補になっています。

他の著書に、『縮んだ愛』『おれのおばさん』『あたらしい家族』など。

中学入試での出題

武蔵中

第2話『お兄ちゃんになりたい』から出題。

おばあちゃんの入院で、お母さんが病院に泊まるようになったことから両親が不仲になってしまう。一人っ子の健斗は思います。「きょうだいがいれば、こんなに悲しくならないのに・・」。

登場人物の関係を把握できているかを問う問題や、文中にはっきりとは書かれていない主人公の気持ちを問う問題などが出ていました。行間を読むということですね。

さすが武蔵、記述問題が多い。

立教池袋中・立教新座中

どちらも、第7話『四本のラケット』からの出題。

中学1年生の太二の所属するテニス部では、グーパーじゃんけんで少ないほうがコート整備をするルール。ある日同級生にパーを出すことを持ち掛けられ、部員の一人をハメてしまう・・。

12才くらいの子たちの話なので、読んでいて受験生も共感してしまったことでしょう。

やはり気持ちを問う問題が多いですが、こちらは選択問題中心です。

まとめ

大人でも子どもでも楽しめる小説でした。

感情を抑えた表現だからこそ、登場人物の繊細な心の動きが伝わってきて涙腺を刺激します。

低学年用の、奇をてらったストーリーや気持ちの動きもなんでもかんでも書いてある児童書では味わえない奥深さがあります。

国語の力は読書がものをいいます。わが家の長女は成績を国語で支えていますが、小さいころから読書量はすごいものがありました。あの絵本や小説たちが今の長女の国語力を作ったのだと思うと、読書の効果ははかりしれません。

あの芦田愛菜ちゃんも、大変な読書家だそうですね。

読書こそ、小さいころからの習慣・積み重ねが大切です。高学年になると受験勉強で忙しく受験対策の本を読む暇もないかもしれません。

武蔵中・立教中に限らず難関校を目指す場合は、中学年くらいからこういう本に触れておいた方がよいです。

小説をたくさん読んで、感性を研ぎ澄ませてほしいですね(*^^*)。


 
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