作者・森絵都について
中学受験の国語読解問題で常連の森絵都さん。
最近では、中学1年生の24人のクラスメイトひとりひとりを主人公にした短編集『クラスメイツ』がたくさんの学校で出題されました。
『カラフル 』は森絵都さんが『風に舞いあがるビニールシート 』で直木賞を受賞する7年前、1999年の作品です。
実写でもアニメでも映画化されています。
『カラフル 』は、入試問題というよりも読書感想文の題材として定番となっているようです。
「読み解く」というよりも、読んだ人それぞれが何を感じることができる物語だということでしょう。
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あらすじ
罪を犯して死んだはずの「ぼく」魂の前に天使が現れ、自殺した少年の身体に"ホームステイ"するように指示されます。
少年の名前は小林真。背が低いのがコンプレックスの、おとなしく地味で友だちもいない少年です。
「ぼく」は少年の暗い家庭環境を知り投げやりに生活するようになりますが、学校・家族との交流を通して少しづつ心境が変化します。
真の心にはモノクロにしか映らなかった世界が、他人の「ぼく」の心を通してカラフルに色づき始めます。
「ぼく」は真に身体を返してあげたいと望むようになるのですがーー。
感想
久々に、ファンタジーを読みました。
ファンタジーといっても奇想天外な冒険物というけではなく、非現実的な設定にすることでメッセージをより際立たせる種類のものです。
真に身体を返すためには、「ぼく」が犯した罪を思い出すことが条件になります。
そこのところが物語のクライマックスになるのですが、そこはネタバレせずに感想を書きたいと思います。
当たり前ですが、常に「自分」として生活していると、身の回りの全てのことを「自分」という色メガネを通してしか見られなくなってしまいます。
毎日繰り返される思考の癖。
心の中は自由だから、まさか自分の感情が"間違っている"とはなかなか思いつくことではありません。
不幸だと思っていることも、つまらないと思っていることも、ほんとうにそうなのか?
自分という人間を、客観的にフラットに眺めてみると、何か新しくいいものが見つけられるのかもしれません。
思春期の頃は、とても視野が狭くて主観的に偏っています。
閉ざした心ではモノクロにしか見えないものが、違う角度から見ると色鮮やかに輝いて見える・・それに気付い欲しいというメッセージが込められた、素敵な物語です。
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