辻村深月さんは灘中でも出題されたことのある小説家です。『家族シアター 』からは、「1992年の秋空」が下記の2校で出題されました。
- 慶應藤沢中(2017年)
- 麻布中(2016年)
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あらすじ
きょうだい、母親と娘、父親と息子、祖父と孫など切っても切れない家族の関係を様々な形で描いています。タイプが違うがゆえに反発するけれど、結局は憎めないし何かあれば味方してしまうという展開が多いです。
『「妹」という祝福』・・オタクで冴えない姉とイケている妹。
『サイリウム』・・地下アイドルファンの弟と、バンギャ(ビジュアル系バンドの追っかけギャル)の姉。
『私のディアマンテ』・・おしゃれでかわいらしく育ってほしい母と、勉強が好きで真面目な娘。
『タイムカプセルの八年』・・無責任な教師が埋めなかったタイムカプセルを、父親たちが協力して探して埋めるお話。
『1992年の秋空』・・ごく普通の元気で明るい性格の姉と、宇宙飛行士になりたい少し変わった妹。
『孫と誕生会』・・繊細な孫と竹を割ったような性格のおじいちゃん。
『タマシイム・マシンの永遠』 ・・ドラえもんの秘密道具タマシイム・マシンが縁で結婚した夫婦が、子どもを通してタマシイム・マシン存在を確認するお話。
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作者について
1980年生まれ、山梨県出身の小説家です。
受賞歴は多く、2012年『鍵のない夢を見る 』で直木賞受賞。
サブカル的要素が強く子どもには向かない作品もあるが、小学生に読ませるなら『島はぼくらと 』がおすすめ。
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感想
他の中学入試頻出作家である重松清や森絵都などに比べて、格段に大人っぽい内容に驚きました。これが受験に出たのか?さすがは慶應だなぁ、麻布だなぁと。
出題された『1992年の秋空』は爽やかな作品ですが、中には子供向きではない物語も含まれています。
教師と関係をもって妊娠してしまう女子高生とか、バンギャ(バンドの追っかけギャル)の姉と地下アイドルファンの弟とか。
わが家はそういう制限がゆるい方なので、まぁ良いのですが。(よっぽどの官能小説(笑)や、悪趣味に残虐なものでなければ)
どう考えても子供向きではありません。
暗い話ではないしどちらかというとハッピーエンドばかりなのですが、なんとなくトーンが暗いというか・・嫌なシーンの書き方が容赦なくリアルに嫌な感じで、ハッピーへのもっていき方は多少強引な気がします。家族だからって兄弟だからって、そんなにうまくいくものだろうか。
好みの問題だと思いますが、わたしはせっかく読むのなら読んでいて気持ちのいい物語が好きなので、あまり好きではなかったです。
でも、『孫と誕生会』はおじいちゃんがはっきりとした明るい人物で好きでした(^-^)。「友達に『嫌い』なんて言葉を使うな」と言っていたおじいちゃんが、「お前をいじめるクラスメイトを、おれは嫌いだ。」と言い切るところに共感してしまいました。
気にする方は読ませる作品を選ぶ必要がありますが、慶應や麻布や灘を受けるなら読んでおいた方が良いでしょう。
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